【相談事例紹介】外国会社の営業所設置等の登記において、準拠法にない概念を登記すべきか

日本における登記をしていない外国会社が、初めて営業所設置または日本における代表者を選任した場合についての論点です。

相談事項

・日本において登記されていない外国会社につき、日本における代表者の選任登記を予定している。

・当該外国会社の準拠法においては日本の会社法下の発行可能株式総数に相当する概念はなく、授権資本金額(authorized capital)という概念しかないようである。当該準拠法におけるauthorized capitalとは、既存の資本金に追加可能な資本金の部分を指すと考えるようであり、日本の会社法のように既発行の部分を「発行可能」株式数として含めることはしない。

・以上の背景事情のもと、外国会社の登記をするためには、authorized capitalについてのみ記載のみならず。日本の登記手続に配慮して発行可能株式数についての説明的な記載を加えた形で宣誓供述書を取得することが必要か。

回答

※東京法務局港出張所に照会した結果の回答です。

・当該準拠法に発行可能株式総数の制度がないのであれば無理して登記しなくても問題ない。

・例えばドイツの外国会社で、発行可能株式総数を登記していない会社が複数社ある。

・また、かつてシンガポールで法改正によって発行可能株式総数が無制限になった際に、発行可能株式総数を廃止する旨の外国会社変更登記が認められた件があり、逆説的だがそれも発行可能株式総数を登記しなくてよいことの根拠になると考えられる。

司法書士・行政書士 司栗事務所代表。日本企業やグローバル企業からの依頼による会社・法人の設立、株主総会、M&A、グループ内再編、独禁法関連、特定目的会社を利用した資産の流動化、金融商品取引業、投資法人(REIT)等に係る登記手続や官公署への届出事務等に多数関与した経験を有する。
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