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第一種貨物利用運送事業の許可取得にあたり検討すべきスケジュール・許可要件等
2023.03.16

最終更新:2022年1月25日

第一種貨物利用運送事業の許可取得にあたり検討すべきスケジュール・許可要件等について、行政書士の視点から概要を整理しましたので掲載します。
なお、貨物利用運送事業法を、以下「法」といいます。

1.許可を取得するまでに必要な期間

標準処理期間は2~3ヶ月とされています。(第二種よりは1ヶ月ほど短い。)

※地方運輸局を経由して申請される事案又は集配拠点のある地方運輸局へ照会する必要のある事案に係る標準処理期間は、上記標準処理期間に1ヶ月追加したものとなります。

なお、申請内容の修正に係る時間は標準処理期間内に含まれません。

貨物利用運送事業についてのQ&A Q27
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_fr2_000014.html
https://www.mlit.go.jp/common/001179705.pdf

貨物利用運送事業法の許認可等に係る審査基準及び標準処理期間について(国土交通大臣権限関係)
https://www.mlit.go.jp/common/000053778.pdf

2.許可を取得するために必要な要件

(1)許可の基準

第二種の場合に求められる「許可の基準」(法23条)に相当する条文はないと思われますが、実際に検討するにあたっては監督官庁への確認を要します。

(2)欠格事由

以下の事由が欠格事由とされています(法6条)。

一 一年以上の懲役又は禁錮この刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
二 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
三 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
四 法人であって、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの
五 船舶運航事業者若しくは航空運送事業者が本邦と外国との間において行う貨物の運送(以下「国際貨物運送」という。)又は航空運送事業者が行う本邦内の各地間において発着する貨物の運送(以下「国内貨物運送」という。)に係る第一種貨物利用運送事業を経営しようとする者であって、次に掲げる者に該当するもの

イ 日本国籍を有しない者
ロ 外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの
ハ 外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体
ニ 法人であって、イからハまでに掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの

六 その事業に必要と認められる国土交通省令で定める施設[施行規則6条参照]を有しない者
七 その事業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎[基準資産額300万円以上(施行規則7条,8条参照)]を有しない者

貨物利用運送事業法施行規則

(事業に必要な施設)
第六条 法第六条第一項第六号の国土交通省令で定める施設は、次のとおりとする。

一 第一種貨物利用運送事業を遂行するために必要な事務所その他の営業所
二 貨物の保管体制を必要とする場合にあっては、第一種貨物利用運送事業を遂行するために必要な保管能力を有し、かつ、盗難等に対する適切な予防方法を講じた保管施設

(3)審査基準

下記で公開されており、詳細な要件は下記審査基準中の別紙Aに記載されています。

貨物利用運送事業の登録及び許可の申請並びに約款の認可申請等の処理方針等について
https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/content/000174500.pdf

第二種と異なり、審査基準は下記のとおりシンプルなものとなっています。

登録確認項目

A 第一種貨物利用運送事業

1 事業遂行に必要な施設

① 使用権原のある営業所、店舗を有していること。
② ①の営業所等が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと。
③ 保管施設を必要とする場合は、使用権原のある保管施設を有していること。
④ ③の保管施設が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと。
⑤ ③の保管施設の規模、構造及び設備が適切なものであること。

2 財産的基礎

純資産300万円以上を所有していること。

3 経営主体

欠格事由に該当しないこと。

(4)条件等

その他、登録に際して条件又は期限を付される場合がありえます(法54条)。