司法書士事務所・法律事務所などが、全省庁統一資格の申請手続を行う際の手続きの概要

最終更新:2021年11月30日

司法書士事務所や法律事務所など、民法上の組合が省庁統一資格の申請手続を行う際の手続きについて、概要を整理しましたので記載します。

全省庁統一資格とは

国の各省庁における物品の製造・販売等に係る一般競争(指名競争)の入札参加資格(全省庁統一資格)です。資格を付与された場合において、その資格は該当する競争参加地域のうち、希望する地域ごとに所在する各省庁の全調達機関において有効な入札参加資格となるものです。

参考:統一資格審査申請・調達情報検索サイト
https://www.chotatujoho.geps.go.jp/va/com/shikaku.html

必要書類

申請主体により異なり、申請主体別の添付書類は以下のとおり(後述のとおり、たとえば法律事務所の場合、民法上の組合としての事務所名義は不可。弁護士法人名義又は弁護士個人名義での申請となります)。[申請書記入要領p.14]

必須/任意業者種別添付書類一覧
必須  法人 ① 登記事項証明書【写】(鮮明なもの)
※履歴事項全部証明書 ②納税証明書(その3の3)【写】(鮮明なもの)
③財務諸表(1年分)【写】
※申請日直前1年以内に、確定した決算書類
④資格審査結果通知書【写】
※郵送・持参による更新申請のみ
必須  個人 ①納税証明書(その3の2)【写】(鮮明なもの)
②財務諸表(1年分)【写】
※申請日直前1年以内に、税務署に提出した、「所得税青色申告決算書(青色申告)」又は「その他確定申告書(白色申告)」
③資格審査結果通知書【写】
※郵送・持参による更新申請のみ
④屋号の住所を証明する書類(①の住所と異なる場合に添付すること) 例:開業届【写】、賃貸借契約書【写】又は公共料金の請求書【写】等
必要に応じ  全て ①委任状 ※行政書士等の代理人が申請する場合
②外字届 ※申請者の住所、商号又は名称、代表者役職・氏名に外字が含まれる場合
③登記事項証明書の閉鎖事項全部証明書【写】(鮮明なもの)
④減価償却に関する明細書等

手続

(1)概要

①申請書提出→②審査→③資格審査結果通知書発送という流れです。[申請書記入要領p.7]

(2)申請方法

郵送、持参、電子申請のいずれかで申請します。[申請書記入要領p.7]

(3)所要期間

通常は書面到着後1週間~1か月後で資格審査結果通知書が発送されますが、3年に1度行われる「定期申請」の期間中等は数週間~数ヶ月かかることがあります。

令和4年度の定期審査における、資格審査結果通知書の送付予定日は、令和4年3月末までとされていました。[申請書記入要領p.9]

(4)申請主体

・申請書記入要領の「03業者種別」「個人」の説明に、「個人事業主。個人事務所、民法上の組合(例えば、法律事務所)の代表者個人(民法上の組合たる法律事務所の場合、それ自体では資格を取得できず、代表者個人として資格を取得できます。)」とあるため、たとえば法律事務所の場合、原則として、事務所(組合)名義では資格は取得できず、弁護士個人が申請主体となるのが原則です。[申請書記入要領p.27]

・有資格者名簿閲覧サイト
https://www.chotatujoho.geps.go.jp/csjs/ex016/StartShikakushaMenuAction.do

で「法律事務所」で検索すると、単に事務所名(弁護士名がない表記)で登録されているものも散見されます。

この点について、統一資格ヘルプデスク(全省庁統一資格審査事務処理センター)にヒアリングしたところ、同じ事務所で複数の代表者が登録をするのでなければ、必ずしも申請人たる弁護士個人の氏名を明示する必要がないというだけであり、あくまで「個人」として申請する必要がある(組合としての申請は不可)ということのようです。

・上記に関連して、記入要領においては「法律事務所等で同一の「商号又は名称及び住所」で複数の代表者が個人として資格を取得する場合、商号又は名称の後ろに( )付きの(代表者 氏名)を追加して、個々の資格を明示的に区別すること。」との記載があります。[申請書記入要領p.10]

・いくつかの法律事務所の例を見るに、申請主体となる弁護士は、必ずしも事務所の代表者(代表パートナーなど)に限られてはいないと思われます。

・その他、弁護士法人名義、事務所名と弁護士名の併記(併記する場合、住所は事務所住所にしている場合と、個人住所と思われる住所にしている場合の両方あり)で登録している例が確認できます。

当該申請をすることによって公開される情報

・資格審査後、「有効期間コード」・「業者コード」・「頭文字」・「業者種別」・「適格組合証明年月日」・「適格組合証明番号」・「本社郵便番号」・「本社住所」・「商号又は名称」・「代表者役職」・「代表者氏名」・「主たる事業の種類」・「企業規模」・「資格等級」・「変更年月日」・「変更内容」・「資格者停止取消区分」・「競争参加地域」・「営業品目・「法人番号」・「設立年月日」の項目が「統一資格審査申請・調達情報検索サイト」の「オープンデータ機能」によって公開されます。[申請書記入要領p.5]

・インターネット申請の場合にも同様に公開されます。公開される項目は以下のとおり(記入要領上は、書面申請の場合と比較して公開項目が多少異なっているようにも見えますが、おそらく同一と思われます)。また、電子申請時に申請内容および添付書類の地方公共団体への公開に同意した場合、地方公共団体にも公開されます。[インターネットによる申請ガイドp.9]

  • 業者コード
  • 法人番号
  • 本社住所
  • 商号又は名称
  • 代表者
  • 設立年月日
  • 営業所情報
  • 主たる事業の種類・営業品目
  • 外資状況
  • 等級・企業規模
  • 製造・販売等実績・自己資本額・経営状況(地方公共団体のみ)
  • 営業年数・常勤職員の人数(地方公共団体のみ)
  • 設備の額・主要設備の規模(地方公共団体のみ)
  • 添付書類(地方公共団体のみ)

概要把握に役立つ資料

・手続の詳細、申請書の記入要領等は、下記サイト内の「申請書記入要項(新規・更新申請)」や「インターネットによる申請ガイド【新規申請】(PDF版)(令和3年5月版)」に記載があり、参考になるかと思われます。
https://www.chotatujoho.geps.go.jp/va/com/guide_m.html

司法書士・行政書士 司栗事務所代表。日本企業やグローバル企業からの依頼による会社・法人の設立、株主総会、M&A、グループ内再編、独禁法関連、特定目的会社を利用した資産の流動化、金融商品取引業、投資法人(REIT)等に係る登記手続や官公署への届出事務等に多数関与した経験を有する。
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