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特定目的会社(TMK)の資産流動化計画(ALP)変更の実務
2024.03.26

特定目的会社(TMK)の資産流動化計画(ALP)の変更に関しては、実務に関する情報があまり公開されていないようなので、本稿で整理を試みます。

なお、本稿では、資産の流動化に関する法律は「資産流動化法」と表記します。

1.どのような場合にALP変更が必要か

次のような場面においてALPの変更が必要となります。

  • ALPに記載してある内容と少しでも違うことをしようとする場合
  • ALP記載事項のうち、現状ALPに記載のない事項を行おうとする場合(例:新たに優先出資を発行する、等)
  • TMKの意思によらずにALPの記載事項に変更が生じた場合
  • ALPにおいて「未確定」としていた事項を確定する場合 など

2.ALP変更の方法

資産流動化法上、ALPの変更は社員総会決議によることが原則(資産流動化法151条1項)です。

もっとも、実務上は、社員総会の決議により変更が行われることは殆どありません。社員総会決議によりALPの変更決議を行う場合、招集通知に一定の事項を記載したり、反対優先出資社員の優先出資買取請求権、特定社債権者集会の承認、特定借入れに係る債権者保護に関する手続き等を行うことが必要となり(資産流動化法152条~157条)、非常に煩雑となるためです。

そのため、実務上は、利害関係人(社員、特定社債権者、特定約束手形の所持人及び特定借入れに係る債権者)全員の事前承諾を得る方法により変更するのが最も一般的です(資産流動化法151条3項2号)。

その他、いわゆる軽微変更と呼ばれる場合等、一定の場合には、取締役の決定のみで変更をできる場合があります。こうした場合には、取締役決定のみで変更を行うこともあります。(資産流動化法施行規則79条参照)

<取締役決定のみで行える変更の例>

・TMKの意思によらない事象の発生を原因とする形式的な変更 (※例:AM会社の商号変更、建物の竣工に伴う表示登記の反映等)
・社員総会の決議による変更を原因とする形式的な変更 (※実務上はあまり見られません。)
・資産流動化計画に従って、優先出資の消却、残余財産の分配並びに特定社債、特定約束手形及び特定借入れに係る債務の履行を完了した場合における計画期間の短縮
・資産対応証券の募集等が開始されていない時点における変更であって、全ての特定社員の同意がある場合
・ALPに従った改定手続による場合

3.ALP変更に必要な書類

実務上は次の書類を準備するのが一般的です。

・ALP変更に係る取締役決定書
・利害関係人全員の事前承諾書
・利害関係人宛のALP変更通知書(資産流動化法151条4項)
・ALP変更通知の受領書(利害関係人から取得)(※作成は任意)
・ALP変更届出書(届出が必要な場合)
・ALP変更新旧対照表

4.ALP変更届出

ALPを変更した場合は、原則として財務局に対して変更届出を提出する必要があります(資産流動化法9条1項)。

ただし、かつては全ての変更について届出が必要とされていましたが、法改正により、現在は「特定資産の取得の時期の確定に伴う変更その他の軽微な変更」については届出不要とされています。届出不要となる具体的な項目は資産流動化法施行規則26条の2に規定されています。ALP変更を行う場合には、届出要否の確認は必須となります。

5.ALP変更届出の変更期限

(1)原則

変更日から二週間を経過する日まで(資産流動化法施行規則26条1項1号)

(2)例外

変更後最初に資産対応証券の募集を行う日(資産流動化法施行規則26条1項2号)

(3)論点:資産対応証券の募集期間中に行われたALP変更の場合の届出期限

実務家の間でも見解が分かれているように思われます。(2)の例外の趣旨に鑑みると、この場合は投資家保護の観点から直ちに(変更日の当日に)ALP変更届出をすべきだとの見解がありますが、確立した解釈はないように思われます。

6.ALP変更届出の方法

※以下は関東財務局の場合です。他の財務局については取扱が異なる場合があります。

(1)持参

直接持参をする方法です。担当官による審査があるため、提出日時の事前予約が必要なことに留意が必要です。

(2)郵送

郵送による方法も認められます。もっとも実務上は、万が一不備があるとその後の手続に支障が生じる場合も多く、またディール全体のスケジュールの関係で郵送に要する時間を確保できないことも多いため、郵送で手続きすることは少ないように思われます。

(3)オンライン

金融庁のオンラインシステムから届出をする方法です。gBizIDの取得が事前に必要となります。
なお、持参と同様、事前に提出予定日時の予約が必要とされている点に注意が必要です。(予約時間に担当官が書類内容を確認する扱いとなっているようです。)