2023年8月27日(日)、公益財団法人 台東区産業振興事業団が主催する、令和5年度(2023年)の、「したまちTAITO創業塾」の第一回に参加してきました。
経営に必要な考え方や目標の立て方などが学べて、とても有意義な時間でした。
自身の復習も兼ねて、レポートを書いてみました。創業を検討されている方や、受講を検討されている方のご参考になれば幸いです。
会場について
新御徒町駅近くの「台東区中小企業振興センター」での開催でした。もともと小学校だった建物のようです。
12:30開場、13:00~18:00に講義、というスケジュールでした。近くでお昼を食べてから行こうと思いましたが、日曜日ということもあり、近くにあまりお昼を食べるところがありません(目についたのはファミレスのジョナサンくらいだったか?)。
私は会場近くのスーパーマーケットの「ライフ」でお弁当を買って、隣の公園で食べました。幸いそこまでの猛暑日ではなかったのですが、それでも暑かったです。講義開始前に会場で食べられるような雰囲気ではなかった(ロビーのような場所はないし、机上に資料がたくさんならべてあった)ので、この辺は次回の課題です…。
また、事務局からもアナウンスは事前にありましたが、自販機が会場内にありません。
建物の外、少し歩いたところには自販機があったのですが、飲み物を持参した方が良いです。
参加者について
総勢16名(1名欠席)が、4人ごとの島でグループワークなどをする体制でした。男女比はおおよそ半々(女性が少し多い)で、30~50代くらいの方が多かったように思います。
様々な業種で、10年以上の実績を積んでこられた方が多くて、若い方はあまりいらっしゃいませんでした。
受講者の方の主な職種(事業内容)は以下のとおりです:
Web製作・マーケティング、結婚相談所、飲食業、整体師、人材コンサル、医療系事業、貸スペース事業、健康事業、士業(→わたし)など・・・
カリキュラムについて
8月27日(日)に開講してから、今後、月に一度、12月まで全5回のカリキュラムです。
第1回は「<創業の心構えと経営の基本>経営の基本を押さえ、円滑なスタートを切ろう!」というテーマで、中小企業診断士の坂本篤彦先生にお話をいただきながら、参加者でグループワークをするなどしました。
講義内容について
(1)はじめに
・「経営の原理原則」の理解の落とし込みを目標にすること
・他社事例を自社に置き換えて理解(インプット)し、実践(アウトプット)すること、
・結果、他社との差異性を創出すること
を、塾の共通のゴールとすることを皆で確認しました。
そのうえで、なぜ今回創業塾に参加したのかという動機を紙に書き出して、各受講者が、自己対話しながら、目標意識を再確認する時間が設けられました。
ちなみに、司法書士・行政書士としての私の受講の動機は、概要以下のとおりです。
- 弁護士事務所で勤務する中で、彼ら/彼女らは法律のプロではあるが、経営のプロではない(特に人事管理に関して)と思った経験が何度もあり、士業こそ経営について学ぶ必要を感じていた。
- 企業法務を横断的に対応できる新しい事務所ということで、新しいビジネスの創出をしようとしている。経営の知識は不可決だと考えた。
- 会社や法人をクライアントとして想定しているため、経営者と同じ目線で話ができるようになることは必須だと考えた。
(2)エレベーター・ピッチによる自己紹介
「エレベーター・ピッチ」とは、偶然エレベーターに乗り合わせた人に、エレベーターを降りるまでに簡潔にプレゼンするための時間、というような意味だそうです。
今回は、各参加者に持ち時間が90秒与えられて、予定する業種や自身の強みを紹介するセッションを行いました。1分たつごとにベルがなり、90秒立つとベルが2回なるのですが、これが結構難しい!私はなぜか(特に意識せず)持ち時間ちょうどで収まりましたが、どうしても時間内に収まらなくて話が長くなってしまった方も数名いらっしゃいました。
「一番長かった行列は?」というテーマで話すことを求められたのがユニークでした。私は真夏のパリのベルサイユ宮殿(に入るための、世界中の人によって宮殿前庭に無秩序に出来ていた行列)を挙げました。
ちなみに、このテーマは、なぜそこに行列ができているかアンテナを普段から張っておくことがオススメ、との趣旨で設けたとのことです。
(3)ビジョン・ミッション
「現状」と「ありたい姿」を埋めるための作業です。これも、各参加者が紙に書き出して整理する時間が設けられました。
事務所としてのビジョンやミッションは比較的明確だと思っているのですが、今回の設問は「私の」5年後、10年後のビジョン・ミッションは?というものでした。個人的にはこの点が全然明確に描けておらず、課題かもしれないと感じました。
なお、このテーマに限らないのですが、講師の先生は、ビジョンを共有して社員のモチベーションを挙げている実際の会社の例など、講義全体を通して具体的な例を意識して多くあげてくださっていました。受講者にとってはこの点がとてもよかったと思います。
(4)チーム力の重要性
「共通意識」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3要素が揃ったとき、チームとして大きな力を発揮するということを教えていただきました。
このテーマでは、受講者間で、「漂流脱出テスト」というゲームに挑戦しました。沈没した客船から脱出した救命ボート内にある10つのグッズについて、全員が生き残るために何が必要か、ディスカッションして優先順位をつけるゲームです。
私は、皆が1番と考えるグッズを中位に置いたりと、頭の悪さが目立ちました・・・。が、皆がよいアイディアを出して、良い感じにグループワークができ、チームメンバーに助けられ、チームとしてのトータルのスコアはなかなか良かったです。
どのグループも、個人で検討した結果より、チームで検討した結果の方が、正解(海のプロが考えた正解)に近づくなど、チームワークの効果を確認できるセッションとなりました。
司法書士や行政書士の事務所は、業界的には個人事務所が圧倒的に多いです(なぜでしょう?)。私も現状個人事業主でやっていますが、経験上、チームでやることはかなり重要だと感じていますので、早く人員体制を拡大して複数体制でやりたいと思っています。
また、興味深い話として、グループディスカッションは、リモートでディスカッションするより対面でディスカッションする方が良いスコアが得られるのだそうです。経営者側が、(従業員側の意に反して)リモートワーク・テレワークを廃止する流れがありますが、こういった点で、経営者側の判断についてはあながち合理性がないとは言えないかも、と思いました。
(5)SWOT分析
Strength(強み)、Weekness(弱み)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を、縦軸・横軸に書き出して、自社の強み等を分析する手法です。私も名前は聞いたことがあったので、おそらく定番のものだと思います。
受講者は、各人宛に配布されたワークシートに、付箋を貼る方式で、それぞれの要素を分析する作業を行いました。なおペンで書くのではなく付箋にするのは、思いついたらいつでも加除修正ができるようにしてほしい、という趣旨だそうです。
弱みを改善することより、強みを生かすことの大切さ、また弱みが逆に強みになった具体例など、大変勉強になりました。
ちなみに当事務所の場合は概要こうかなと思っています。
【強み(S)】 ・企業法務に特化 ・大手ローファーム出身者によるクオリティーの高さ ・ポストコロナ時代に創業した若い事務所。オンラインにも強い。 | 【弱み(W)】 ・人員体制に課題 ・収益力(業界では、一般に不動産登記に比べて劣ると言われている) ・リーガルテックなどの必要なツールの投資が追い付いてない。 |
【機会(O)】 ・企業法務を専門とする書士がニーズのわりに少ない ・中小規模のローファームがパラリーガルなどの法律隣接職の重要性を理解することが増えてきている | 【脅威(T)】 ・AI等による自動化サービス ・大手事務所出身者パラリーガルのレベルアップや人材流動性の向上による後追いモデルの台頭 |
まとめ
ただスクール形式で講義を聞くだけでなく、グループワークもあって、第1回からとても多くの学びがありました。内容は基礎的かもしれませんが、経営の考え方を初歩から学びたい方や、考え方の再確認をしたい人にはとてもおすすめです。第二回も楽しみです!