投資助言・代理業、投資運用業等を始める場合の初動対応

会社が投資助言・代理業や投資運用業等の登録を目指す場合の、初期的な進め方について整理しました。

会社の設立

まずは会社設立の手続をします。

第二種金融商品取引業又は投資助言・代理業以外は、株式会社であることが求められます。また、金融商品取引業を取り扱う会社については、資本金や機関設計について金商法に登録要件が定められていますので、この要件を意識して設立をする(できるだけ、後から変更をする必要が生じない)よう、注意が必要です。

登録要件は多くのものがありますが、それらのうち、設立登記手続との関係で、特に注意すべきと考えられるものは下表のとおりです。

第一種金融商品取引業第二種金融商品取引業投資運用業適格機関投資家向け投資運用業投資助言・代理業条文
株式会社であること必要必要必要
資本金5000万円1000万円5000万円1000万円法29条の4第1項第4号イ(金融商品取引法施行令第15条の7)
国内における営業所等必要必要必要必要法29条の4第1項第4号ロ
(外国法人のみ)国内における代表者必要必要必要必要法29条の4第1項第4号ハ
社内規程の整備必要必要必要必要※下記注記参照法 29 条の
4第1項4号ニ
取締役会設置必要必要法 29 条の4
1項5号イ
参考:金融庁「投資運用業等 登録手続ガイドブック」(令和4年10月付)

※投資助言・代理業については、社内規程の整備は法定の登録要件とはされていません。しかし、登録申請に必要となる書類を作成する際、「別添の●●規程のとおり~」などと、社内規程の内容をリファーする記載ぶりとする場合も実務上多いです。このことから、事実上は、社内規程の作成・整備は必要になってくるものと思われます。

財務局へのアポイント取得・事前相談

金融庁が発行する令和4年10月付「投資運用業等 登録手続ガイドブック」によれば、登録申請を希望する場合、まずは当局の担当窓口に問い合わせをすることが求められています。

会社設立登記完了後、またはある程度登記完了の見込みが立った段階で、所轄の財務局に事前相談をします。

その後、当局からは、「概要書」と呼ばれる、事前相談のためのヒアリングシートの作成が求められます。概要書を作成する前に、まずは当局の担当窓口まで問い合わせを、とされていますので、担当者の確認を得てから概要書を作成することになります。

概要書の書式は下記WEBサイト上で公開されています。ただし、この概要書ですが、内容が頻繁に改定され、常に最新版が公開されているわけではないため注意が必要です。また、WEBサイト上ではpdf形式でのみ公開されていますが、希望する場合は、当局との初回の相談後にWord版を入手することは可能です(2023.11現在の金融庁の取扱)。

https://www.fsa.go.jp/policy/marketentry/guidebook.html

参考資料

その他、詳細な進め方を検討するにあたっては、金融庁が発行する「投資運用業等 登録手続ガイドブック」が大変参考になります。

https://www.fsa.go.jp/policy/marketentry/guidebook.html

司法書士・行政書士 司栗事務所代表。日本企業やグローバル企業からの依頼による会社・法人の設立、株主総会、M&A、グループ内再編、独禁法関連、特定目的会社を利用した資産の流動化、金融商品取引業、投資法人(REIT)等に係る登記手続や官公署への届出事務等に多数関与した経験を有する。
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