建設業の変更届出における代理権限を証する書面

1.はじめに 代理権限証書の位置づけ

建設業の変更届出を代理人によって行う場合、変更届書の「届出者」欄に、届出者本人のほか、届出書を作成した代理人の氏名を記載する必要があります。

また、この場合には、「作成に係る委任状の写しその他作成等に係る権限を有することを証する書面」を添付する必要があります。

根拠規定は、建設業法施行規則の別紙様式の記載要領です。規則本文ではなく別紙様式に根拠がある点がポイントですが、法定様式であるため、拘束力があります。

本稿では、この代理権限を証する書面について、実務上の対応とあわせての解説を試みます。

2.代理権限証書の形式

記載要領には「作成に係る委任状の写しその他作成等に係る権限を有することを証する書面」とありますので、原則として、次のような書面がこれに該当すると考えられます。

・届出者本人から代理人に対する委任状(写し)
・届出者本人と代理人との間の委任契約書(写し)

3.作成の主体

記載要領の文言上は、代理権限証明書の作成主体について特段の言及がありません。このことから、必ずしも委任者が作成した委任状等でなくても(つまり受任者が代理権限の存在を証明する書類であっても)差し支えないと考える余地があるようにも思われます。

4.押印の要否

令和3年1月1日より、建設業法施行令等が改正され、原則、届出書への押印は不要となりました。

代理権限証明書の押印の取り扱いについても変更があったものかは一見明らかでないようにも思われますが、①元々記載要領により押印の義務が法定されていたわけではないこと、②本人による届出の場合は押印不要だが代理人による場合は押印必要とするとバランスを欠くこと、から、代理権限証書についても押印は必須ではないと考えられます。

5.代理権限証書の実例

以上を踏まえた、代理権限証書の例を次のとおり掲載します。

押印については、できれば届出者から取得する方が望ましいですが、仮に届出者に了承を得たうえで行政書士による自己証明を行う形式であっても、上記2.3.により、届出を行うにあたっての形式的な要件は満たしており、問題ないと考えられます。なお、行政書士法施行規則9条により、行政書士においては職印の押印は必須となります。

この様式は、税務申告における代理権限証書を参考にしました。(税務申告における代理権限証書は、委任者ではなく届出代理人(税理士)が自己証明する形式になっています。)

こちらの様式にて少なくとも東京都、関東地方整備局、石川県、北海道、近畿地方整備局、中部地方整備局において特に問題なく受理されています。

司法書士・行政書士 司栗事務所代表。日本企業やグローバル企業からの依頼による会社・法人の設立、株主総会、M&A、グループ内再編、独禁法関連、特定目的会社を利用した資産の流動化、金融商品取引業、投資法人(REIT)等に係る登記手続や官公署への届出事務等に多数関与した経験を有する。
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