会社の設立日はいつ?登記を出した日?登記手続完了日?

結論としては、実務的には、登記申請書を法務局に出した日と考えるのが一般的です。
登記手続が完了した日(法務局での審査が完了して、登記事項証明書や印鑑証明書が取れるようになった日)とはあまり考えません。

が、実は少し難しい問題があります。

厳密にはよくわからない?

(株式会社の成立)
第四十九条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。会社法(平成十七年法律第八十六号)

会社法の条文は上記のようになっています。

実は、条文上は、「設立の登記をする」時点が、申請書を出す時点なのか、法務局での審査が終わって登記記録を作る時点かは、明確ではありません。

申請書を出しても、書類に内容面での不備がたくさんあるため補正(修正)ができず、登記申請が却下されてしまったらどうなるのでしょうか。

それを考えると、申請書を出した時点で即設立したことになって良いのかという疑問もあるところだと思います。実際、この点については私達もよく問い合わせを受けることがあります。

実務上は次のように考えている

ただ、実務上は、「登記申請書を法務局に出した日」を設立日とするのが一般的です。おそらく次のような理由があると思います。

  • 設立直後の登記記録には、会社成立の年月日が記載される。また、末尾の「登記記録に関する事項」欄に「令和●年●月●日設立」と記載される。ここに記載される年月日は、法務局の審査が完了した日ではなく、設立登記の申請日である。
  • 設立登記申請書やその添付書類に仮に不備があったとしても、ほとんどは補正(書類の差し替えや追加提出)で対応できる。
    たとえば法務局からの指摘を長期にわたり放置するなど、よほどのことがない限り、実務上は登記申請自体が却下になることはない。
    補正をした場合でも、当初の登記申請日(設立日としていた日)が後ろにずれてしまうようなことはない。

まとめ

設立の登記は、できるだけ不備のないように行いたいところですが、万一書類不備があって法務局の審査完了が遅れても、法的な意味での設立日が遅れることはありません。

もっとも、長期にわたって不備の補正に応じない場合は、設立登記自体が却下されてしまう場合もないわけではありません。法務局から司法書士から修正の要請があった場合は、速やかに対応しましょう。

司法書士・行政書士 司栗事務所代表。日本企業やグローバル企業からの依頼による会社・法人の設立、株主総会、M&A、グループ内再編、独禁法関連、特定目的会社を利用した資産の流動化、金融商品取引業、投資法人(REIT)等に係る登記手続や官公署への届出事務等に多数関与した経験を有する。
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