論考・記事

対内直接投資等に該当する金銭の借入
2025.11.12

日本子会社が、海外の本社から金銭の借入を受ける場合についての、外為法上の対内直接投資等・資本取引関係の報告・届出の要否について整理します。

1.対内直接投資の該当性

海外法人が日本子会社に対して行う以下の貸付は、外為法上の対内直接投資等に該当します。

国内法人に対する1年を超える金銭の貸付け(居住者外国投資家が行う本邦通貨による貸付けを除く。以下「金銭の貸付け」といいます。)であって、次のaおよびbのいずれにも該当するもの。【後記注 1参照】

a 当該貸付け後における当該外国投資家から当該国内法人への金銭の貸付けの残高が1億円に相当する額を超える。

b 当該貸付け後における当該外国投資家から当該国内法人への金銭の貸付けの残高と、当該外国投資家が所有する当該国内法人が発行した社債との残高の合計額が、当該貸付け後における当該国内法人の負債の額として定める額の 50%に相当する額を超える。【後記注2~4参照】

なお、①aもしくはbのどちらか一方のみ該当する、またはそのいずれにも該当しない、および②金融機関がその業務として行う金銭の貸付けは、対内直接投資等ではなく、外為法上の「資本取引」となります。もっとも、資本取引においては金銭貸借についての届出・報告は、経済制裁対象者関連の取引等の一定の例外を除いて、原則不要とされています。

2.注意点

【注 1】 外貨の換算

外貨の換算は外為法7条に定める「基準・裁定外国為替相場」により換算します。

【注 2】 社債について

会社の発行する社債で、特定の外国投資家に対して募集されたものに限ります。ただし、次のいずれかに該当するものを除きます。

a 金融機関が業として取得した社債。

b 居住者外国投資家が取得した本邦通貨をもって表示される社債。

c 取得の日から元本の償還の日までの期間が 1 年以下である社債。

d 当該外国投資家による取得後における保有高が1億円に相当する額以下の社債。

【注 3】 密接関係者分の合算に注意

上記bの条件のうち「当該貸付け後における当該外国投資家から当該国内法人への金銭の貸付けの残高」「当該外国投資家が所有する当該国内法人が発行した社債との残高の合計額」は、当該貸付けを行った者の「密接関係者」である外国投資家による金銭の貸付けおよび社債の保有の残高を含みます。

上記aの条件「当該貸付け後における当該外国投資家から当該国内法人への金銭の貸付けの残高が1億円に相当する額を超える。」については、単体ベースで考える(密接関係者は含まない)ことで問題ありません。

「密接関係者」については、定義が難解ですが、概要下記の概念図に示されるとおりの資本関係があったり、役員の兼任があると該当する可能性があります。 (図は日本銀行の公表資料より抜粋)

【注 4】 負債額の考え方について

当該貸付けを行った日の属する事業年度の直前の事業年度末の貸借対照表(当該直前の事業年度がない場合は、直前の貸借対照表)の負債の部に計上した額と当該貸付けの金額とを合算した額として考えます。

ただし、貸借対照表を作成していない場合は、当該貸付けを行った日の属する事業年度の直前の事業年度末の財産目録(当該直前の事業年度がない場合は、直前の財産目録)の負債の総額と当該貸付けの金額とを合算した額として考えます。

3.参考資料

日本銀行『外為法Q&A(対内直接投資・特定取得編)』Q1