小数点以下の株式数

例えばA氏に100.66株、B氏に80.34株といったように、小数点以下の値がある株式を発行することはできるのでしょうか。

結論としてはこれはできないと考えられます。

会社法は、株式の数に一株に満たない端数があるときは、切り捨ての処理をしたり、競売や会社からの買取等により金銭に換算して処理することとされ、一株未満の端数を発生させないような思想でルールが作られているためです。

(会社法において端数の処理について定めている条文は以下のとおり。
159条2項、167条3項・4項、182条の2、182条の4、202条2項、234条、235条、236条1項9号、241条1項、283条)

一般的な感覚として、端数株式を株主に対して交付することはできないということは、イメージとしてわりと理解されていると思います。

ただ、私は過去に、小数点以下の株式が設立時から長く残ってしまっていたという事例を目にしたことがあります。株主ごとの出資金額をまず決めて、それに応じて株式数を割り当てようとした結果、設立時から端数株式が生じてしまっていたことが原因のようでした。

株式会社の設立においては、「発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数」を定める必要があります(会社法32条1項1号)。しかし、これは定款の絶対的記載事項ではなく、かつ設立登記申請時の審査事項でもありません。おそらく、私が見た例は、公証人や登記官のチェックをすり抜けて、そのまま見過ごされて設立ができてしまったのだと思われます(この点は認証時や登記時のチェック事項ではないので公証人や登記官には責任はありません)。

出資金額をまず決めて、それに応じて株式数を割り当てる場合は、1株あたりの金額を設定する際、端数が発生しないような値(割り切れる数)で設定する必要があります。

税務上の要請などで、例えば49.9999999…%:50.0000001…%の出資比率にしたいということが稀にありますが、その場合は1株あたりの金額を1円にしておくと、こういったギリギリの出資比率を実現できます。

司法書士・行政書士 司栗事務所代表。日本企業やグローバル企業からの依頼による会社・法人の設立、株主総会、M&A、グループ内再編、独禁法関連、特定目的会社を利用した資産の流動化、金融商品取引業、投資法人(REIT)等に係る登記手続や官公署への届出事務等に多数関与した経験を有する。
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