登録免許税を誤って多く納付してしまった場合(過誤納)についての対応方法等について整理された記事が少ないようですので、本稿で整理を試みます。
1.法務局から補正の連絡
過誤納が発生した場合、法務局担当官から補正の連絡があります。
2.申請書の補正
担当官の指示に従い、申請書の記載内容(登録免許税)の補正をします。この点は他の類型の補正と同様です。
なお、後記3.の還付通知請求・申出書を法務局に提出した後で、システム上の処理の関係で、登録免許税額を0円として再度補正するよう指示を受ける場合があります。
3.還付通知請求・申出書を法務局に提出
ここからが通常の補正とは異なる手続きになります。過誤納の場合、申請書に記載した登録免許税の金額部分を補正するのみでは足りず、別途、「還付通知請求・申出書」を作成して、法務局に持参又は郵送する必要があります。自動で還付や通知は行われずそれを請求する必要があるということです。なお、少なくとも東京法務局本局管内においては、この「還付通知請求・申出書」は、登記申請の補正手続の一環と考えられているためか、「還付通知請求・申出書」の持参又は郵送がされない間は登記の補正が完了しない取扱となっている模様です。
「還付通知請求・申出書」の書式は法務局HPに掲載されています。(9-3 還付通知請求・申出書(登録免許税の還付通知の請求をする場合))
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
記載方法は、上記WEBサイト内に記載されていますが、このほか、平成26年5月9日法務省民二第272号通達「登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式について」も参考になります。
司法書士が代理人となって登記申請する場合、通常、登記申請の際の委任状には還付金請求受領の件が委任事項として含まれている場合が殆どかと思われます。この場合、「還付通知請求・申出書」の備考欄には、
「受領代理人への還付を希望
受領代理人連絡先○○-○○○○-○○○○
備考
添付書類
申請時の委任状を援用」
などと記載します。(同通達参照)
4.還付金受領
法務局・税務署での処理完了後に、「還付通知請求・申出書」に記載の還付場所にて還付金を受領します。
5.還付通知請求・申出書作成にあたっての注意点
(1)司法書士(司法書士法人を含む。)が申出をする場合は,司法書士法施行規則第28条第1項に従い、還付通知請求・申出書の末尾又は欄外に記名・職印押印が必要となります。(法務局における審査の対象でもあります(上記通達参照)。
(2) 記載例からは若干わかりづらいのですが、還付場所として金融機関等の口座を指定する場合、金融機関名・支店名・口座種別(普通/当座)・口座番号も記載する必要があります。(「受領代理人の口座」と「受領代理人の氏名・フリガナ)のみを記載するのでは不十分です。)