論考・記事

外為法 対内直接投資等のオンライン報告に関する実務Q&A
2024.09.25

外為法上の対内直接投資等に関する報告(株式、持分、議決権若しくは議決権行使等権限の取得又は株式への一任運用に関する報告書等)をオンラインで提出する際、マニュアル等に記載がなかったり、記載要領等に記載がないが日本銀行から指摘を受けて対応した事項等について整理して投稿します。(※随時更新予定)

1.報告項目中の字数制限が理由で、送信時にエラーとなってしまうがどうすればよいか?

「定款上の事業目的」や「その他の事項」でこのような問題が起こりやすいです。日本銀行によれば、この問題が発生した場合、報告情報中の該当項目は「別添のとおり」などとし、別途Excelファイル等で該当事項を記載した別添用のファイルを作成し、「送信ファイル」とは別の「添付ファイル」として送信するのが一般的な取扱のようです。

2.合同会社などの持分会社に関し、「数量(株、口)」はどのように記載すべきか?

合同会社などの会社法上の持分会社は、一社員につき一持分であり、原則として株数や口数の概念がありません。日本銀行によると、発行会社が持分会社の場合、報告情報中の該当箇所は「0」又は空欄として提出するのが望ましいとのことです。(「1」は不可とのこと。)

対内直投命令 別紙様式11(株式、持分、議決権若しくは議決権行使等権限の取得又は株式への一任運用に関する報告書等)の場合は、以下の項目がこれに該当します。

・「発行会社」>「資本金」>「取得前、一任運用前又は設立時」>「数量(株、口)」
・「発行会社」>「資本金」>「取得後又は一任運用後」>「数量(株、口)」
・「取得又は一任運用をした株式等」>「数量(株、口)」
・「取得又は一任運用をした株式等」>「一株(口)当たり(円)」
・「取得時等に報告者と特別の関係にあるものが所有等をする同一発行会社の株式及び議決権の数量等」>「株式数量(株)」
・「取得又は一任運用の相手方」>「譲渡数量」

なお、発行会社の定款で議決権や持分の口数を定めている場合などはこの限りではありません。この場合は、「その他の事項」等にその旨を注記したうえで、定款に従った方法で口数を記載して報告するのが望ましいと思われます。

3.設立新株等取得の場合の「取得前、一任運用前又は設立時」「取得後又は一任運用後」の使いわけは?

設立新株等取得の場合は、対象の金額・数量を「取得前、一任運用前又は設立時」と「取得後又は一任運用後」のどちらに記載すべきか明らかではありません。日本銀行によると、「取得前、一任運用前又は設立時」の方に金額・数量を記載し、「取得後又は一任運用後」は空欄とする運用のようです。

※「設立時」の記載を優先するということのようです。

4.3年+3か月以上前の取引を遅延して報告した場合の提出記録確認方法は?

システム上、送信済の届出・報告書等を検索・ダウンロードできる期間は「対象時期」が3年+3か月前までのものに限られます(「送信年月日」が基準ではありません)。提出時に「対象時期」が上記期間を超えているものは、日本銀行にて内容確認・受理される前であれば訂正報告等ができますが、内容確認・受理された後は、もはや記録の検索・ダウンロードはできなくなってしまう模様です。

5.報告者の情報を報告者本人に確認してもらうための方法は?

オンラインによる報告情報の送信の場合、「報告者の氏名又は名称」「代表者の氏名」「報告者の住所又は所在地」は報告情報本体に記載項目がありません。そのため、確認依頼用に別途上記情報を控えたファイル等を適宜の方法で作成するのが望ましいと思われます。

なお「報告者の氏名又は名称」「代表者の氏名」については、日本語表記のほか、英語表記が求められるので、失念しないよう注意が必要です。

ちなみに、報告情報の提出後に発行される「到達確認シート」には報告者の氏名等の情報は記載されます。