論考・記事

DES(デット・エクイティ・スワップ)と外為法上の届出/報告手続
2024.08.29

いわゆるDES(株式会社に対する金銭債権の現物出資)に関して、外為法上必要となる可能性がある届出、報告について整理します。

1.事例

以下の事例を前提に検討します。

・株式会社(非公開会社)が第三者割当で募集株式を発行する。
・当該募集株式は海外法人が引き受ける。
・引受人は株式発行会社に対して有するローン債権を現物出資する(DES)。

2.対内直接投資等に関する届出又は報告

海外法人は外為法上の外国投資家に該当するため、原則として対内直接投資等に関する事前届出又は事後報告が必要となります。

<事前届出の場合>

【様式1(直投命令)】株式、持分、議決権若しくは議決権行使等権限の取得又は株式への一任運用に関する届出書

(届出期限:募集株式発行の効力が生じる前、かつ事前届出に係る待期期間経過前)

<事後報告の場合>

【様式11(直投命令)】株式、持分、議決権若しくは議決権行使等権限の取得又は株式への一任運用に関する報告書

(報告期限:取得又は一任運用の日から45日以内)

<事前届出をした届出者が実行報告を行う場合>

【様式19(直投命令)】株式、持分、議決権若しくは議決権行使等権限の取得又は株式への一任運用に関する実行報告書

(報告期限:取引日から 45 日以内(引き受けに関する処分等について報告をする場合は、引き受けに関する処分等の事実の発生の日から 30 日以内))

3.支払又は支払の受領に関する報告

外為法上、居住者が貿易外の取引に係る支払を行った場合であって、その額が3000万円を超えるときには報告義務が課せられています。

ここでいう支払は、銀行等を経由するものとしないものに大別されます。外為法上、債権債務の相殺や現物による決済は、銀行等を経由しない支払と解されるため、原則として、現物出資財産の帳簿価額が3000万円を超える場合、外為法に基づく報告が必要になると考えられます。

<支払報告>

【様式1】支払又は支払の受領に関する報告書(銀行等又は資金移動業者を経由しない支払又は支払の受領)

(報告期限(都度報告の場合):支払等を実行した日の属する月の翌月20日まで。)